2013年12月10日火曜日

時間と予算がなくても出来る!DIY ユーザー・エクスペリエンス(UX)

Appleの大成功以来、もはやよく出来たUXぬきの成功はあり得ません。そのためUXデザイナーの需要は高まるばかり、良いデザイナーを採用するのは至難の技となっています。でも、もし時間も予算も限られた起業家が、自分達でUXを出来るとしたら?そんな要望に答えるワークショップに参加してきました。

講師はUXデザインコンサルタントのEverett McKay氏。マイクロソフトなどでUXを手がけた後、2010年よりUXコンサルティング会社を立ち上げました。

McKay氏のチェック項目を使えば、UXの計画と所要時間を確認することが出来ます。 ざっくりと何にどの位時間をかければいいのかわかります。また、既に開発途中であれば、以下の項目を使えばUXの確認と評価をすることが出来ます。

McKay氏によると、UXとはユーザーとのコミュニケーションである。ソフトとユーザーが、あたかも「人対人」のようにコミュニケートすることが出来れば、成功とのことです。

さあ、早速項目を見てみましょう。

計画段階
·      ターゲットユーザーを決定する(数時間)
o   ターゲットユーザーについてあらゆる事実と仮定を洗い出し、ユーザーモデルを作ります。そのユーザーモデルが、自分のビジネスに適当なマーケットか確認します。
·      自分の製品のバリュー・プロポジションを決定する(数時間)
o   ターゲットユーザーはどうすれば購入して製品をつかうのか、動機付けを決定します。
o   問題解決だけでは弱いため、ユーザーに本当のバリューをもたらす様な解決が必要です。
·      トップシナリオをいくつか決定する(数時間)
o   ターゲットユーザーがどんなシナリオで製品を使うのか、考えます。
o   Who, wha, when, where, whyについて明確にします。Howについては明解にしません。
·      ユーザーを使ってリアリティー・チェック(数日間)
o   ユーザーを使って、UXデザインが大丈夫かどうか確認します。

デザイン
·      良いプロのビジュアル・デザイナーを採用する(数日間)
o   通常、開発者はUXはできません。プロを雇うか、UXのトレーニングを受けるか必要。
·      各トップシナリオについて、人間の「会話」をデザインする(数時間)
o   対面で説明する場合、どのようにタスクを説明するか決める。
o   その会話を反映するような、簡単でわかりやすく、効率的なタスクフローを決める。
o   タスクフローを分析し、最適化し、単純化する。
·      ページをデザインするために会話を使う(数日間)
o   そのページは対面での会話をよく反映しているか?統合性はあるか?全部、そこにある必要はあるのか?

リファインメント:評価のための、テクニック
·      シナリオベースのレビュー(数時間)
o   トップシナリオを用い、ユーザーの視点からデザインを評価する。
o   トップシナリオは簡単に出来るか?ユーザーの持つ目的は達成されるか?
o   伝統的なスクリーンを見てthrow spears at itは役に立たない
·      コミュニケーション・レビュー(数時間)
o   誰かにデザインを説明させて、気をつけてその説明を聞きます。自分の考えていたものと、違いはあるか確認する。
o   もし違いがあるなら、なぜか探る。違いがある時、人による説明のほうが正しくて、UIデザインが間違っていることが多い。
·      バリュー・プロポジションをレビューする(数時間)
o   ユーザーがその製品をつかうのに、何が動機付けとなるのか?
o   ベネフィットは最大化され、コストは最小化されるか?バリューはすぐに明らかか?
·      本能的なレビュー(数時間)
o   本当的なインタラクションに必要な機能をレビューする
o   インタラクションが高度で滅多にないオプションでない限り、機能が足りないと問題になる。
·      プロトタイプでユーザーのレビューをする(数日間)
o   ターゲットユーザーに大切な機能を与え、ユーザーがその機能を使うことが出来るか見ることにより、ユーザービリティーを確認する。
o   このために紙でのプロトタイプを使うことが出来る。実際のプロトタイプは高価すぎるため、代替案として紙にスクリーンをプリントしてつかうことも出来る。


より詳しく知りたい人は、講演者のサイトで詳細をどうぞhttp://www.uxdesignedge.com/

2013年12月5日木曜日

全世界でユーザー2億人の秘訣を探れ!アプリSwing by Swing創業者インタビュー


今回は、シリコンバレー在住のスタートアップ、Swing by Swing創業メンバーの一人であるモニークに独占インタビューを行いました。一番気になるユーザー獲得方法、獲得したユーザーの維持法などついてうかがいました。

Swing by Swing はゴルフコースGPSアプリで2010年にローンチしたスタートアップ企業です。全世界135カ国、34,000コースをカバーし、ユーザーは2億人を超えます。

H:2億人を超えるユーザーをお持ちとのこと、すごい数ですね。どのようにしてユーザー獲得をしたのか、教えてください。

M:もちろん、数えきれない努力の結果ですが、幾つか鍵となる要素があります。先ずは、私達がSwing by Swingを始めた時、今とは環境がずっと違ったということです。当時はアプリのフリーミアムモデルはほとんどありませんでした。技術的にゴルフ場でのGPSは最新のものではなかったのですが、当時は競合が$300ほどでアプリを売っていました。$300もするので、ユーザー数は限られていたと思います。そこで、私達がすでにある技術を使ってアプリを作り、フリーミアムモデルを打ち出したのです。そこでユーザーが爆発的に増えました。

H:最初は無料で、アップグレードに有料になるモデルですね。

M:基本的な機能は無料なので、無料でGPSを使えます。私達がしたのは、GPS機能をフリーで使ってもらう代わりに、ユーザーに情報収集をお願いしたのです。例えば、ゴルフ場のコースをアップデートするなどです。こうすることで、Swing by Swingは無料ユーザーが増えれば増えるほど、ゴルフ場の情報が増え、しかもより正確になりました。実際にユーザーが情報をアップデートしているかは、モニターしていました。

今では95%のゴルフ場がカバーされているので、ユーザーの情報提供の重要度は減りましたが、コースは常にアップデートされますしね。

HPRは行いましたか?ソーシャルメディアなどを用いて、マーケティングを行いましたか?

MPRも行いましたが、私達の場合、PRよりも、アプリに満足したユーザーが自発的に友人たちにアプリを紹介していくケースが圧倒的多数でした。

当時、強豪は2社いたのですが、その中でも我が社が突出していたのは、当初から顧客のEmailリストを構築していったことです。Emailマーケティングで
ユーザーをフォローアップし、常に顧客にアプリを使ってもらえるように、気を配りました。他社ではアプリ開発に時間とコストをかけていましたが、その後のフォローアップにあまり注力していませんでした。獲得したユーザーを維持するためには、実はダウンロードしてもらった後の努力が大切なのです。

もし競合に顧客を取られても、常にEmailで情報を発信することで、いつでも顧客の回りにいる、いつでも顧客に戻ってきてもらえる環境を整えたのです。

ソーシャルメディアも使いましたが、当時のFacebookはもっとシンプルで違うものでした。広告を打つというよりは、情報を発信していく、ファンの声を聞くためのツールの一つでした。Facebookは既にいるファンとつながるツールだったので、Facebookがユーザー獲得にどの程度貢献したかは、不明です。

アプリ市場、ソーシャルメディア環境がこの数年で大分変化したので、これからアプリのユーザー獲得を始めるとしたら、違う方法が必要かもしれませんね。

H:その他にユーザー獲得のために気をつけたことは何ですか?

M:マーケティング面での鍵は、とにかくユーザーの行動や嗜好について徹底的に研究したことです。ゴルフのプレーヤーでも、何歳ぐらいで、年収はいくらぐらいで、車は何に乗り、どんなことが他の趣味なのか、どこで気晴らしをするのか、など。あらゆる情報を集めて、Swing by Swingをどうすれば知ってもらえるか、彼らの嗜好にあうのか、マーケティングに活かしました。

H:海外展開についてはどうでしょう。

M:海外展開もしています。全世界で135カ国、アジアでも日本、韓国、中国など多くのゴルフ場をカバーしているのですよ。日本人のお客様にも使って頂いていますが、日本語での顧客サービスが対応出来ないため、日本市場への参入は現時点では本格的には考えていません。週末にはSwing by Swingのスタッフとオンラインチャットが出来るのですが、英語になっています。


H :今後の戦略を聞かせてください。
M:次なる戦略は色々ありますが、ゴルフ場の予約が実現できるといいですね。技術的には簡単なのですが、ゴルフ場毎に独自の予約システムを持っているので、それが難しい点です。

H:最後に、アプリ開発に興味がある日本人にメッセージをお願いします。

M:これからアプリ開発を考えているなら、若い人たちのアプリの使い方に注目するといいのではないでしょうか。きっと、面白いものが出来ると思いますよ。頑張ってください。